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キングダム46 巻 感想・レビュー

投稿日:2017年4月23日 更新日:

皆様こんばんは。

4月19日にキングダム46巻が発売になりました!!!!

僕も19日に家の近くの本屋さんに仕事帰り直行したのですが、なんと九州地方は21日発売だったとのことで買えず……(T_T)結局21日まで一日千秋の思いを味わったのでした。

さて戦闘描写は無かったものの、物語が動いた46巻の感想を書いていきましょう。

45巻の感想も書いておりますので、こちらも読んで頂けると嬉しいです!

※ここから先は46巻のネタバレを含んでいますので、ご覧になる際は自己責任でお願い致します

目次

①飛信隊の+1000人隊完成

②儒家VS法家 思想VS法 争いの兆し

③李牧の守りを貫くは、奇策「鄴攻め」

④王騎の意志を胸に、矛を手に

⑤戦国の世 鄴攻め始動

①飛信隊の+1000人隊完成

45巻最後で行われていた飛信隊の入隊試験ですが、案の定蒼源の息子2人(蒼仁と蒼淡)が入隊しました。歩幅で500歩先の的(まと)に10本中8本中(あ)てたとされる金令が中華十弓の優勝を飾ったとされていますが、蒼仁は信たちの目の前で10射中10射の回中(かいちゅう)を達成しています。僕は高校時代弓道部だったので、この技量の凄まじさがよくわかります。

今の日本で行われている弓道は28メートル先の的に持ち矢4射の内、何本中てることができるかでその技量、得点を競っているわけですが、500歩先の的となると単純計算して

180cm(身長)×0.45×500歩=405m※

なんと405メートル的から離れている計算になります。高校生の頃の僕たちの約15倍の距離で、かつ正確に的の真ん中に矢を集めることが出来る技術というとそのレベルの高さがご理解頂けますでしょうか。

※人の歩幅の出し方に関してはオムロン株式会社様のHPを参考にさせて頂いております。また身長180cmと言う点に関しましては兵馬俑の平均身長を参考にさせて頂いております。あくまで物語を実際に肌で感じることを念頭に計算しておりますので、正確なことはわかりませんがそこはご了承下さい。

話が逸れましたが、このように特殊技能を持つ人間や、純粋に体力試験で合格した人間が新たに飛信隊に加わりました。着実に隊としての成長は見て取れますね。新たに仲間になった彼らがいかにして「集の力」を見せてくれるのか楽しみなところです。

 

②儒家VS法家 思想VS法 争いの兆し

45巻で秦王政は、法による平等な統治が新国家繁栄のための糸口になると宣言していましたね。僕は「法」という単語を目にしてすぐ李斯を思い浮かべましたが、やはり彼が法治国家建設へのキーパーソンであることは間違いないようです。

呂布韋に最後まで忠義を尽くした李斯でしたが、呂布韋の権威が失墜した後は牢獄に捕らわれていました。肆氏より「法の化け物」と称された李斯と会うため、昌文君は地下牢を訪ねます。そこで昌文君は法の化け物、李斯の神髄に触れることになるのです。李斯は言います。

「”法”とは願い!国家がその国民に望む人間の在り方の理想を形にしたものだ!統一後この全中華の人間にどうあって欲しいのか、どう生きて欲しいのか、どこに向かって欲しいのか、それをしっかり思い描け!」

格好良すぎヌレタwww

同じく濡れた昌文君は李斯こそ中華統一後の新国家を現実にするものだと直感的に悟り、恥を気にせず李斯を登用したのです。

作中で李斯は中原(魏・趙・韓)においては法より上に儒家思想が来ると語っています。この春秋戦国時代というのは各国が戦争に明け暮れた時代であると同時に、文化・思想が群雄割拠した時代でもありました。中国で科挙が始まった時期には既に孔子の言葉をまとめた『論語』が必須の教養になるなど、儒家の思想は長い間中国の思想の根本とも言える思想ですから、中原において法より儒学の立場が上なことはある意味自然なことです。その「思想」より「法」が上だと知らしめるわけですからどんな未来が予測されるか(→焚書・坑儒)は想像に易いところであります。

『キングダム』とはどんな漫画かと問われたときに多くの方が始皇帝の中華統一までを描いた作品と答えられるかもしれませんが、やはり僕は中国が統一された後に秦王政が何を思い、何を感じ、何を考え新国家を統治したのか是非とも見たいものです。

 

③李牧の守りを貫くは、奇策「鄴攻め」

李斯が政に登用される場面で昌平君と介億も登場します。その折、側近の介億ですら見抜けなかった昌平君の微妙な表情の変化を李斯は見抜き、昌平君へ話題を振ります。昌平君は政に人払いをお願いした後、二人きりでの対談を希望します。

二人きりになった昌平君が口にしたのは趙への侵攻の糸口が見えないという内容でした。李牧は黒羊での趙国の敗北の後、急速に秦国との間に多大な防衛線を築き上げています。一つ一つは大したことの無い城のようですが、秦が最前線の城と戦っている間に第2・第3の防衛線を築くことで秦国の進行を遅らせる作戦でした。45巻最後で李牧が言った刺し違えてでも秦国を倒すという言葉通りの行動です。守りの厚い趙国を攻略するために昌平君が見込んだ年数は最低でも15年。秦は国力を絞りに絞って戦う15年間の間に6国全てを平らげてしまおうとする作戦でしたから、李牧はそれを見越した防衛ラインの早急な着手に取りかかったのです。

正攻法では中華の統一を為しえないと判断した昌平君が政に提案したのは、趙の都邯鄲にほど近い趙国No.2の都市「鄴」を奇襲し、そこから3年掛けて趙を滅ぼすという作戦でした。しかしながらこの一手はそもそも趙の内側に入り込み奇襲を成功させなければいけない点、鄴を陥落させた後でも常に周辺の軍事都市からの攻撃を防ぎ続けなければいけない点を考慮すると奇策と言うよりもむしろ下知、無謀とも言える戦略です。

机上の空論にすらなり得ないこの大戦略を実現するために選ばれたのが総大将王翦を初めとした、桓騎と楊端和の3軍連合軍でした。桓騎に関しては直近の黒羊丘の戦いでリスキーながらも敵の虚を突き圧勝を納める戦いぶりを僕たちは目の当たりにしていますね。山の民と楊端和に関しては秦国存亡の際にかならず駆けつけてくれる頼れる仲間という印象が強いです。ただ王翦に関しては未だ実力のそこが見えていません。一つ言えるのは廉頗に六将筆頭の白起と戦い方が類似していると言われた時、函谷関の窮地を救った時に共通して全てを見透かしているかのような戦略眼を持っているということです。そのことを示すかのように昌平君はそんな王翦の強さを軍略の才「だけ」で六将に肩を並べる人物だと評しています。また趙へ向け出陣している中で突然雨が降ってくるのですが、雨が降る前に王翦は全軍を休止させ、十分な休憩を取らせます。この勘の鋭さも王翦の底知れぬ強さの要因のように感じます。

一方で信、蒙恬、王賁の若き5000人将たちにもお呼びがかかります。実はこの3隊が以前から独立遊軍としての活動を許されていたのは、今回の大戦のように現場での的確な状況判断を養うための布石だったというのです。これは昌平君の計画性の高さを示す一つの指標になり得る場面だったと思います。

 

④王騎の意志を胸に、矛を手に

さて、いよいよ強化された飛信隊の出番が回ってくるわけですが、この戦いで信はとうとう王騎将軍から受け継いだ矛を起用します。重くて熱い、王騎の矛を信がどこまで扱うことが出来るのか今後の戦闘描写が非常に楽しみですね。

ちなみに今回のトップ画は表紙が王騎の矛を振るう信だったので、王騎将軍とのツーショットを実現させてあげました。やはり同じ矛を使っていますね。感慨深いものです。

⑤戦国の世 鄴攻め始動

鄴攻めを行っている最中、その報告が入る前に突如趙に燕国のオルドが侵攻してきます。合従軍として共に戦って以来のオルドの侵攻に李牧含めた趙のブレーンたちは困惑します。その混乱を昌平君や王翦が見逃すはずがありませんよね。ここで一気に流れを作ることが予想されます。

ではこの燕国の侵攻を招いた人物は誰だったのでしょうか?実はこの46巻に答えが出ているように僕は思います。あまりにもサラッと出てきたので最初僕は気づかなかったのですが、蔡沢の葬儀における肆氏と昌文君の会話の中にその答えがありました。

「六国全てから弔辞も届いている。おまけに長年出向されていた燕とは同名の段取りもすませていたそうだ」

え?

「おまけに長年出向されていた燕とは同名の段取りもすませていたそうだ」

え?

すみません、大事なことなので2回言いました。

なんと蔡沢は燕国と同盟の段取りを済ませていたと言うではありませんか。凄い爺さんですわ。これで燕国が趙を攻めたことにある程度理解できるのですが、問題はそこじゃ無い。

45巻の斉王王建と政のあの感動の対談はなんだったんだ!!

僕が言いたいのはそれだけです。

 

以上キングダム46巻の感想でした。いよいよ宿敵李牧との戦いが目の前に迫ってきましたね。ただ趙には李牧と龐煖以外にも今回新たな武将の名前が出てきました。司馬尚と扈輒です。敵とは言えこの2人がどのような活躍をするのか、誰とぶつかるのか今後の展開が非常に楽しみなところです。

それでは今日はこの辺で。

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【参考資料】

兵馬俑-Wikipedia様

歩幅の目安を教えてください-オムロン株式会社様HP

 

 

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