キングダム レビュー 漫画

キングダム48 巻 感想・レビュー

投稿日:2017年10月24日 更新日:

皆様こんばんは。

キングダム48巻が10月19日に発売しました!

僕は福岡に住んでおりますので発売日当日は読めなかったのですが、ようやく家に届きましたので早速読んだ感想を書いていきたいと思います。

※当記事は48巻までのネタバレを含んでおります。

目次

①王翦描きしは「兵糧攻めの応酬」

②暗雲の後は晴天か、それとも……。趙王の系譜

③3つの戦い開幕

④朱海平原の戦い、左翼の要・蒙恬

⑤朱海平原の戦い、右翼の要・王賁


 

①王翦描きしは「兵糧攻めの応酬」

前47巻で「鄴」を武力で攻め落とせないと判断した王翦は、桓騎軍と王翦軍を使って鄴の周りにある小都市を落としていく作戦に出ました。兵糧が尽きる前に鄴を攻め落とすのでは無く、小都市を落とし、そこに住まう民を鄴へと流していく。そして鄴の中の人数が膨れあがり、食料難に陥ったところを攻め立てるという戦略です。兵糧と時間との戦いであった秦軍の状況を仕掛けた側にも強いるという非常にトリッキーかつ大胆な戦法ですね。漫画の中では描かれていませんが、秦軍の兵糧が尽きるのが先か、9つの小都市+鄴の民が飢えるのが先かおそらく王翦は自身のスパイ、もしくは桓騎軍のスパイを借りて逆算をしていると考えられます。もともと王都圏の鄴を攻めるという行為自体が奇策と言われていましたので、その奇策すら上塗りする兵糧攻めの応酬は李牧の頭の中にも無かったのでしょう。

ちなみに信や王賁たち若い将の中でいち早く王翦の戦略に気づいたのは羌瘣でした。王賁や蒙恬以上の戦略眼もしくは洞察力が彼女にはあることを示す描写でした。

 


 

②暗雲の後は晴天か、それとも……。趙王の系譜

李牧は援軍の要請の(と一応趙国の奥深くまで秦軍の侵攻を許してしまった謝罪をする)ために趙の都・邯鄲へと赴きます。そこで現在の王・悼襄王へ直談判致しますが邯鄲からの援軍は拒否されてしまいます。その理由として鄴が墜とされたとしても、邯鄲は籠城すれば20年は敵国の攻撃に耐えられること、自身が病気がちで20年は生きられないことを考ると邯鄲の軍を援軍とするよりも自身を守るためだけに使いたいという非常に身勝手な理由からでした。王との謁見を済ませた李牧はカイネを連れ宮中を歩く中で太子(悼襄王の子)・嘉と会います。嘉は父である悼襄王の今回の采配を苦々しく思っていました。嘉太子が王位に就けば趙国の繁栄は約束されるだろうと李牧は考えますが、果たしてそれは実現するのでしょうか。

嘉太子は政に似た顔で描かれており、いかにも名君になりそうな存在ですね。鄴攻めが失敗してしまった場合、李牧と共に秦国の前に立ちはだかることは必至です。読者としては鄴攻めを成功させて欲しいですが、一方で名君同士の戦いも熱いモノがあって見てみたいです。

悼襄王が暗君と揶揄されていますが、裏を返せば当時の王国と呼ばれる国において「王」が文字通り絶対的な力を持っていたことを示していますね。これは「王」さえも「法」の下だと宣言する政と相対する思想で、キングダムにおける政の特質性を逆の立場から説明している描写と言えるでしょう。

 


 

③3つの戦い開幕

舞台は戦場へと移ります。鄴の周りの小都市を墜としたといっても鄴は趙の王都圏であり、王都圏であるということは鄴以外にも大きな都市が複数存在することを意味しています。同時に王都圏の都市には鄴が攻められてる際に援軍を派遣し、鄴を攻める秦軍を包囲・殲滅する役割を担っています。王翦の見立てでは鄴を助けに来て秦軍の撃退を可能とさせる軍は閼与(あつよ)軍と遼陽(りょうよう)軍しかいないようです。故にここに来て鄴の前に立ち籠城させ続けるための軍と対閼与軍、対遼陽軍の3軍を用いる構図となりました。今回の秦国連合軍も3人の将軍から成っていますので、それぞれが担当するようです。まとめるとこんな感じです。

・王翦軍・飛信隊・玉鳳隊・楽華隊 VS 閼与軍(李牧・馬南慈・元藺相如配下の将軍)

・楊端和軍 VS 遼陽軍(舜水樹・公孫竜)

・桓騎軍 VS 鄴軍・その他都市からの援軍

今後はこの3つの戦場での戦いがメインになってくるようです。楊端和軍は既に公孫竜の遼陽軍と戦闘を開始しています。フィゴ族の王が言うには一方的な戦いとなりそうですが、李牧は遼陽軍の大将を公孫竜から舜水樹へと交代させ、かつ遼陽城の中には何者かが巣くっていると言う情報も出てきましたので、蓋を開けてみないとわからないですね。

 


 

④朱海平原の戦い、左翼の要・蒙恬

李牧率いる閼与軍(12万人)に対抗するのは総大将王翦率いる王翦軍、飛信隊、玉鳳隊、楽華隊の合計8万8千人の兵士達です。王翦は軍を左翼(楽華隊)5千、中央軍(王翦・飛信隊・麻鉱軍)5万8千、右翼(玉鳳隊・亜光軍)2万5千の3つに分け、李牧も同じように右翼3万(紀彗軍)、本軍6万(李牧・金毛・堯雲)、左翼3万(岳嬰・馬南慈・趙峩龍)の3隊に分けております。向かい合った場合、左右対称になりますから左翼の楽華隊は趙軍右翼の紀彗軍とにらみ合う形となります。本体と右翼は兵の差5千ですが、左翼は明らかに戦力に開きがありますね。この次点で王翦は李牧に対して既に心理戦を持ちかけております。つまり「さっさと左を攻めてこい」という挑発です。李牧はこの挑発に乗っかり、紀彗軍へ攻撃を命じます。

この時楽華隊が繰り出したのがヒット&アウェイの戦法でした。攻め、そして下がり、待ち伏せしていた軍が敵軍を袋叩きにし、撤退した敵を背後から狩る。その繰り返しにより徐々に紀彗軍を削ることに成功します。これに怒ったのが紀彗の副将・馬呈でした。この猛将の攻めにより、楽華隊に優勢をとれると判断した紀彗は全軍を楽華隊に向けさせます。この時秦国中央軍から麻鉱軍が登場。劣勢にみせかけていた楽華隊は麻鉱軍の破壊力を活かすための布石だったのです。しかも麻鉱軍は第一陣のすぐ後に第二陣、第三陣と攻め立てる「波状攻撃」をすることで紀彗軍は大きく戦意を削がれることとなりました。

紀彗の奮戦もあり、なんとか持ちこたえている紀彗軍でしたがこの状況を蒙恬が見逃すはずがありません。ただの囮ではなく5千という数を活かして主攻にも転じられる楽華隊の重さに、紀彗は実力の差を感じずにはいられませんでした。

さて馬呈が楽華隊に殴り込みに行った際、蒙恬の護衛の一人・陸仙がもの凄い形相で馬呈を睨み付けていました。蒙恬は楚の項翼の攻撃を受け流すことが出来るなど、防御に優れていますが攻撃に関して言えば信や王賁のような凄まじい戦果を今までにあげていないように思います。今回の戦いで馬呈を倒すことが出来るのか、それとも陸仙が馬呈と戦うのか、今後が楽しみです。


 

⑤朱海平原の戦い、右翼の要・王賁

右翼では玉鳳隊・亜光軍VS岳嬰・馬南慈・趙峩龍の戦いが繰り広げられています。王翦の側近である亜光の軍の強さは「味方をも踏みつけて全速力で突き進むする突破力」です。その非情なまでに感情を殺して突き進む力は敵にとって大きな脅威となります。とは言え相手は李牧の副官・馬南慈です。1万の軍を3(主攻):7(助攻)に分け、岳嬰軍と戦っている亜光軍第1陣の土手っ腹に突き刺し、7000の軍を亜光軍第2陣の前に突入させることで亜光軍を完全に分断させることに成功します。しかしこの劣勢を勝機に返すかの如く、王賁は馬南慈の助攻と主攻の間に分け入り、遂に敵将・馬南慈と対峙します。

ちなみに右翼の戦いが始まる前に、亜光が王翦の言葉を借りて王賁を「良くも悪くも特別扱いしていない」という台詞があります。これは王賁率いる玉鳳隊を一撃必殺の遊撃隊として捉えている王翦&亜光に対して、王賁は自身の隊に対する自信から進んで乱戦へと臨もうとしたところを否定されたことに端を発しています。良くも悪くも特別扱いしていないというのは、「進んで乱戦に行かせたくないという親心」と「乱戦に臨んで生き残っていられないだろう=玉鳳隊の強さに期待していない」という意味で「特別扱いしていない」という言葉になったようです。

この後馬南無慈と対峙した王賁が放った言葉「秦王の刃として貴様をここに沈めてやる」という言葉は王翦に対するあてこすりの様に聞こえるのは僕だけでしょうか。(と言うより政に頼りにされていることがよっぽど嬉しかったんでしょうね)

 


 

さて最後に48巻で出た謎について書いておきましょう。

☆公孫竜が舜水樹のことを「北の遺児」と語っていましたがあれは何だったのか、遼陽城に巣くう主力部隊とは何か

予想ですが、まず北というのは遊牧民族・匈奴のことではないかと思います。李牧は宰相に抜擢される以前は対匈奴の任に当たっていましたから、その時に幼い舜水樹を拾って育てたのではないでしょうか。黒羊丘の戦いで信に敗れた慶舎ももとは孤児でしたので(45巻おまけページ参照)才能ある若者を李牧は育て上げ自分の側近にしていたのかもしれませんね(そう考えると李牧の周りにはカイネや傅抵のような若い将が多いのも納得いきます)。あと舜水樹は騎馬の扱いが非常に巧い描写があります(46巻503話で遠く離れた場所から李牧たちに追いついています)。彼を遼陽軍の総大将としたということは匈奴のような騎馬民族が遼陽城の中にはいるのかもしれません。(匈奴は趙に恨みを持っていますからおそらく匈奴では無いと思いますが……)


 

以上『キングダム48巻』のあらすじと感想・レビューでした。

大きな戦いとなると、漫画といえども読者にわかりやすいよう情報を整理していく必要がありますから、48巻ではあまり大きな進展というのは見られませんでした。この戦いの前哨戦とも言える黒羊丘の戦いが41巻の中頃~45巻の中頃まであり、約4巻分費やしたことを鑑みると46巻の半ばから始まった今回の戦争が終結するには少なくとも51巻くらいまでかかるように思います。

っていうか

今回「信」の出番少なすぎてワロタwww

言葉を発してるコマを数えると大体15コマくらいでしたよ。しかもそのうちのほとんどは王翦の戦略を聞いて「!?」となっていたモノが多く、最後の525話に至っては姿さえ出てこないという……。多分今までで一番影が薄かった巻になりそうです。むしろ王翦の戦略をいち早く気づいた羌瘣の方がキャラがたってるような……。とは言え、左翼・右翼それぞれで信のライバル達が活躍していますし、政から今回の戦いで3人揃って将軍へ昇格するよう言われていますから、今後必ず見せ場はやってくるでしょう。今後の信たち飛信隊の活躍に期待したいですね。

※あと完全に余談なのですが、蒙恬って単体で漫画の表紙を飾ったことないんですね……。48巻を中央に、王賁が表紙になっている36巻を右側に、最後に蒙恬を左側に……と思ったのですが……。泣く泣く今回のトップ画になりました(;ω;)

それでは今日はこの辺で。

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