キングダム レビュー 漫画

『キングダム』49巻感想・レビュー

投稿日:2018年1月28日 更新日:

皆様こんばんは。

キングダム48巻が1月19日に発売しました!(レビューが遅くなってすみません)

最近知ったことですが、ヨドバシドットコムで予約注文すれば、なんと発売日当日に家に届くことがわかりました。ヨドバシカメラがある県にお住まいの方はもしかしたらAmazonより早く読めるかもしれませんよ。さて、それでは早速49巻のあらすじ・レビューにまいりましょう。

※当記事は49巻までのネタバレを含んでおります。

目次

①遼陽に巣くうは犬戎の牙

②朱海平原の戦い初日、最大の衝撃とは

③蒙恬・王賁、大将軍の視点


①遼陽に巣くうは犬戎の牙

舜水樹は大将として遼陽に赴きます。そこでは公孫竜含め李牧から預かった軍の他に「犬戎」という異民族集団が待っていました。犬戎は古代中国において西戎と呼ばれ。中国人から忌み嫌われた周辺民族の1つです。中国というのは名前が指し示すとおり、「世界の中心に自分たちがいる」=「中華思想」が根本にあるという前提があります。世界の中心に自分たちがおり、周りには東夷・西戎・南蛮・北狄と呼ばれる「蛮族」が巣くっているという発想です。故に犬戎の長であるロゾが自分たちのことを「西戎の祖」と称した言い方は個人的には大分違和感があります。

まぁそれはそれとして、犬戎は春秋戦国時代の前、周王朝を滅ぼした後に遼陽に住み着いたようです。趙の中の領土ではありますが、趙国は犬戎の遼陽における治外法権を認めており、このことから遼陽は言わば一つの独立国家のような存在になっています。と、ここへ趙と秦の軍勢が押し寄せてきました。つまり遼陽の犬戎からしてみれば玄関の外で戦っていた2人の内の1人がいきなり玄関に上がってきて、後から付いてきた奴は土足で進入してきた。最初の1人が、「土足で進入したあいつは無礼だから一緒に戦って追い出そうぜ」と提案してきた、みたいな感じです。普通に考えると2人目だけじゃ無く1人目もぶっ飛ばすという発想なのですが、犬戎は李牧に毎年上物の羊の肉を振る舞って貰っており、来年も食べたいから趙(1人目)に協力することを約束しました。つまり李牧の餌付けがここにきて活きてきたという話です。

ここで舜水樹が北の遺児である伏線(前巻・48巻参照)が回収されます。北、つまりは匈奴の生き残りであるとされる舜水樹は匈奴の言葉を話すことが出来ます。よって普通は言語の意思疎通が取れない犬戎相手でも、匈奴の言葉を話すことで李牧の餌付けを遂行する役割を果たしたのでした。

犬戎の武力は楊端和率いる山の民と拮抗しており、現段階ではどちらが優勢かはわかりません。ただ初日の戦いが終わった段階で楊端和の表情を見る限り、山の民が『キングダム』紙上一番の苦戦を強いられていることはわかります。ただこの表情が山の民の頂点に立つものとしての責任感から来るものであると推察されること、フィゴ族の王(山の民の一派)はそこまで悲観的では無いことを鑑みるとまだまだ余力は充分にあると考えられるでしょう。


②朱海平原の戦い初日、最大の衝撃とは

場面は朱海平原の戦いへとシフトします。左翼にて麻鉱軍は蒙恬率いる楽華隊の力添えもあり、紀彗軍を追い詰めます。そこへ中央にいた飛信隊に王翦からの命が下ります。「紀彗の首を取って来い」と。王翦の必殺の一撃が紀彗へ襲いかかります。

しかしこれはミスリードでした。飛信隊のような別働隊を率いるのは王翦側だけではありませんでした。朱海平原の戦い初日、最大の衝撃は大将の李牧本人が戦地に赴き麻鉱の首を刎ねます。その瞬間、事態は一変し、麻鉱を精神的支柱としていた麻鉱軍は崩壊へ向かいます。

ここで蒙恬が立ち上がります。麻鉱は死んでいない。いえ、死んでいるけれども「立って戦え」という麻鉱の言葉を軍の隅々にまで伝えようと画策します。そうすることで麻鉱軍本来の持つ「個の力」を呼び覚まそうとしたのです。飛信隊もしくは蒙恬配下の陸仙いずれかを拠点とした後に練兵の際に麻鉱がいつも部下達を激励した「立って戦え」という言葉と「麻」の旗を掲げるのです。実際には飛信隊を囮として紀彗の右腕である馬呈の戦意をそちらに向けつつ、陸仙側の拠点へ楽華隊本隊を合流させる。こうすることで麻鉱軍全てを救うことは叶いませんが、半分を生き残らせるという芸当をやってのけたのでした。

麻鉱が討ち取られたこと自体も衝撃でしたが、その大戦果を挙げたにもかかわらず軍として半数が残っているという点は李僕にとっても衝撃的なものだったでしょう。


③蒙恬・王賁、大将軍の視点

絶望的な状況下で李僕の計算以上の兵を残した手腕を買われ、蒙恬は一時的に将軍へと格上げされました。蒙家三代続く中で最も優秀であり、昌平君からも天才と言わしめた蒙恬の底はまだ見えませんね。

さて、初日が終わり趙国VS秦国の戦いは2日目へと突入します。朱海平原の戦い2日目のキーとなるのは王賁と亜光のいる右翼です。岳嬰と戦闘していた玉鳳隊ですが、そこへ趙峩龍の軍が横から攻め込みます。完全に挟み撃ちされた玉鳳隊、ベテランの関常ですら諦めようかという状況ですが、王賁には別の、大将軍の見る活路が見えていました。

49巻はここで終わりですので、王賁の見た景色がどんなものかはまだわかりません。しかし挟撃という不利な状況を利用するということは予想できます。挟まれている間を無理矢理にでも突破して、亜光と戦っている馬南慈の背後を突く。そんな戦略が王賁の頭の中では渦を巻いているのでは無いでしょうか。


以上キングダム49巻のあらすじでした。前回48巻のレビューで予想していたとおり、やはり遼陽には騎馬民族が存在していましたね。犬戎だったというのは予想できませんでしたが……。というより「犬」戎って名前だからって犬の被り物をしているというのは中々面白いと思いました。名は体を表しますからね。非常にわかりやすいです。

中国の歴史を見ていくと、周辺民族に相当苦労させられています。春秋戦国時代の前、つまり「周」の時代は犬戎に、そして秦が中華統一をした後に生まれる劉邦の国「漢」は匈奴に長い間苦しめられます。万里の長城というのは古代中国人がいかに周辺民族を恐れていたかを知る重要な手がかりといえるでしょう。日本で聖徳太子が活躍していた時代、中国は隋や唐の時代になります。その更に先、モンゴルに征服され「元」という国になります。更に更に近代へ近づくに連れツングース系女真族に征服されると今度は「清」へと名を変えます。これは日本と1894年に戦った日清戦争があるのでご存知の方も多いでしょう。「清」最後の皇帝(ラストエンペラー)愛新覚羅溥儀が退官することで、永く続いた王朝としての中国は終わりを迎え「王」をトップとする王国(キングダム)から人民をトップとする共和制国家へと歩むことになるのです。このように考えると中国の歴史は、同時に異民族の歴史でもあります。犬戎や匈奴というのは世界史を知らない方にとっては耳慣れない単語かもしれませんが、実はこういう歴史があるのです。加えて言うなれば、やはり1900年代まで続いた王朝を、最初に一つにまとめ上げた始皇帝(嬴政)がどれほど凄まじい業績を遺したのか窺い知ることができます。

さて最後は簡単な中国史の紹介になってしまいましたが、これで49巻のレビューを終わります。信は蒙恬に助太刀した後王翦へ呼び戻されて夜の内に中央へ向かいました。ということは?必ず王賁とも協力して(彼ら2人にとっては不本意だとは思いますが)必ず右翼の勝利に貢献してくれるでしょう。

あと完全に余談ですが、49巻でようやく蒙恬が表紙を飾りましたね。実は今まで単体で表紙を飾ったことが無いことを前回お伝えしましたが、早速現実のものとなるとは……。

それでは今日はこの辺で。

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