学び 政治

2021年衆議院総選挙の感想と迫る魔の手

投稿日:2021年11月23日 更新日:

皆様こんばんは。

10月の末に衆議院の総選挙がありましたね。

色々と感想をお持ちの方もいらっしゃるとは思いますが、結果について僕個人としては8割絶望、2割希望として見ておりました。


8割の絶望

まず絶望に関して言うと、

1.自民党が絶対安定多数と呼ばれる議席数(261)をジャストで取ってしまった(しかも単独で)。

2.日本維新の会が議席数を増やしてしまった(2014年と同等に戻してしまった)

この2つが圧倒的な絶望の理由です。以下に思うところを述べていきます。

                                     

1.自民党が絶対安定多数と呼ばれる議席数(261)をジャストで取ってしまった(しかも単独で)。

衆院選の前に自民党の総裁選がありました。河野太郎は論外として高市が積極財政を宣言し、それに連られて岸田も似たようなことを言っていたことは皆様の記憶にも新しいところだと思います。

総裁選で岸田が総理大臣として選ばれ、「成長と分配」「新自由主義の転換」「新しい資本主義」を謳っていたことは個人的に好感触でした。

しかしながら、元を辿れば失われた30年の原因は全て政策与党である自民党にあるため、岸田や高市に多少期待はするものの、野党の票を伸ばして拮抗させるというのが最もベターな選挙と思われました。

しかしながら蓋を開けてみれば前述の通り自民党のみで261議席、所謂絶対安定多数という議席数を獲得してしまいました。

これはまず(僕は職務を全うしたとは微塵も思わないですが)菅が総理を辞し、総裁選を衆院選の直前にわざわざ持ってきたという戦略が大きいです。このおかげで国民の注目が自民党に集まったこと、そしてその候補の1人であった高市が驚くほど他の政治家に比べてマシに見えたことから、高市が政調会長であるならば大丈夫なんじゃないかという期待があったことも要因と考えられます。この他、岸田が二階を幹事長から降ろす発言をしたことや、成長と分配を掲げ新しい日本型の資本主義を目指すだとか、株主至上主義からの脱却を図る、所得倍増を目指す等期待できそうな文言を垂れ流していたことが理由でしょう。

ただ、だとしてもやはり自民・公明の議席は減らすべきでした。自民党はどうせ国民を裏切ると言うことがここ20年以上の歴史でわかっていたのですから。

また不運だったのは、対抗馬として存在感を発揮すべき立憲民主党の政策があまりにもトンチンカンで不甲斐ないと国民の目に映ったのは事実でしょう。

立憲が公約に載せてた内容で、「森友加計学園・桜を見る会の再調査」であったり、「選択的夫婦別姓の導入」であったりと対自民党を意識する余り、正直今それをする必要があるのかという内容を表に出していたことが返って足を引っ張ったように思います。

つまり立憲民主党は自民党をメタりすぎて汎用性に欠けてしまったと言えるのです。

マニアックな例えになりますが、例えると・・・

遊戯王でいうと相手のライトロードデッキ対策として「魂の解放」を3枚積みしたものの、相手はライトロードではないデッキを使ってきたので結果的に勝てなかった。

ポケモン(第4世代)でいうと、こちらグロスを使用。最速バンギを仮想敵としてHA252→AS252にした結果、今度はようきガブの地震確定2で絶えるところを乱数1になってしまった(バンギ以外のポケモンに対する汎用性が失われた)。

・・・いきなり自分の世界に入ってスミマセン。もう少し日常生活の場面に落とし込んで言うと

自分が好きな女の子Aと2人で話してるときに、Aが別の男Bの話題を出して「Bくんってカッコいいよね」と言ってたのを聞いて「いや、Bはこういうところがダメだよ」ととにかく批判する。みたいな感じです。人の評価を落とすのに注力するのでなく、自分を磨いて魅力を出せよって話なんです。童貞かよと言いたくなりますわ。はい、ということで立憲民主党は童貞ということです。(ちなみに僕も童貞です)

・・・まぁとにかくこのようにピンポイントだと刺さることもあるけれど、「他の候補」がいればそっちに入れてしまうという半ば自滅に近い形だったように思います。

で、「他の候補」に入れてしまうと今申し上げましたが、そうなんですよ。その「他の候補」に恐るべき政党が第一候補として浮上してしまったのです。

                                     

2.日本維新の会が議席数を増やしてしまった(2014年と同等に戻してしまった)

日本維新の会が議席数を11→41に増やしました。メディアなんかではこれを「躍進」なんて表現してますけど、2014年の議席数と同じなので実際は「躍進」と言うより「立憲民主党または自民党に見切りをつけた方が維新の会に投票したことで議席数を元に戻した」というのが正しいような気がします。

まぁ、維新の会が第3党としてまともな政党だったら僕はわざわざこんな記事を書くことがないんですよ。日本維新の会が非常に危険な政党であるからこうして書いているのです。

結論から言ってしまうと、維新の会は「改革」を推し進める新自由主義の政党であることが最も危険と評した要因です。

改革と聞くとなんとなく良いイメージを持たれる方も多いかもしれません。

ただね、よくよく考えてみて下さい。

「改革」ってなんですか?

(言葉1つをとってみても色々あるのですが、最もメジャーと言えるのが)規制緩和のことです。

じゃあ規制緩和って何でしょうか

規制(参入障壁)を緩和する(下げる)ことで自由競争を促進することです。

具体例として水道の民営化を挙げましょう。

この間日本で初めて宮城県にて水道事業の民営化が決定されました。これは上水道・下水道・工業用水道という3つの水道事業をひとつにまとめて、20年間の運営権を民間企業に売却しようというもので、運営会社の議決権株式はフランスのヴェオリア・ジェネッツ社が51%保有することになったようです。

いや、なんで最も重要なインフラの1つである水を外資に委託するねん

って話です。

ちなみにこの水道民営化の話ってポッと出の話ではなく勿論以前から計画されていたことでした。

???「上下水道は、全国で数十兆円に上る老朽化した資産を抱えております。フランスやイギリスなどヨーロッパでは民間による上下水道運営が割と普通になっていまして、年間売り上げが数兆円に上るコンセッション企業や、しかも非常にダイナミックにIoTを取り入れて、第4次産業革命と一体化になって水道事業をやっていくというのが出てきている。しかし、その一方で、今、湯﨑知事からプレゼンがありましたけれども、さまざまな制度面の制約が日本ではあって、まだ案件形成が阻まれています。」

2016/12/19 第3回未来投資会議 議事録より
URL:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai3/gijiyousi.pdf

???に入る人物名は、そう皆大好き「ケケ中Hey蔵」氏でございます。

新自由主義の尖兵・国際金融資本の日本支部窓口おじさんですね。

これから先世界一の水質がどうなってしまうのか、水道料金の値上げは起きるのか等様々な課題が噴出してくると思います。

ちなみに↑で窓口おじさんは「水道の民営化はヨーロッパでは主流になってきている」みたいな発言をしており、確かにフランスのパリでは1985年に水道の民営化を開始しましたが、2010年には再公営化されているという事実も抑えておく必要があるでしょう。

そもそも規制(参入障壁)というのは国民やその種の産業を守るためにあるわけで、赤字になってでもやる必要があるから政府主導でやってるんだろうがボケという話なんですよ。

しかも日本は政府が国債を発行すれば財政的な心配は全く問題ない素晴らしい国なわけです(国債の信用の担保になるのは日本国民の生産する供給力なので国民を痛めつけ、産業を衰退させる政策こそが愚の骨頂であることはもうわかっている話なのに)。

貨幣に対する間違った考え方を持ったままではそれこそ国が崩壊してしまいます。

                                     

そうそう貨幣に対する間違った考え方と言えば最近では日本維新の会の小野泰輔が文通費についてなんか言及していました。

10/31総選挙があり、最後の1日しか在職していないにもかかわらず1ヶ月分の100万円が支給されるのはどうたらこうたらって言ってましたね。

確かに我々国民の目線からすれば、我々の血税を何もしてないのに運良く100万円もらえるなんてけしからん!とお考えの方も多いかもしれません。

しかし再三申し上げますが、税金というのは国の財源ではなく、また文通費の支給なんてのは国の通貨発行の一部でしかないのです。つまり誰の懐も痛んでない、それどころか文通費を支給しないことで本来使われるべき消費に充てられないなら寧ろ経済にとってはマイナスとも言えます。(というか国会議員の年収を高いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、彼ら議員の後ろ側には秘書が複数人いるわけで彼らの分のお金を工面しなければならないと考えると、果たしてその文通費というのは本当に無駄なお金なのかという視点・議論もありますね)

日本維新の会ってのはこういう国民「感情」につけ込んだパフォーマンスが多いんですよ。

本質を議論するのではなく(本質を議論したら論理的な矛盾が生じるため)何か別の対象を批判し、それに比べ自分たちは身を切る改革をやるんだ!という姿勢こそ日本維新の会のスタンスのように見受けられます。そしてとりあえずメディアに多く出演する。メディアをうまく活用するという意味ではどっかの緑のたぬきおばさんと近いものがあります。(人間というのは元来よく見る人に好感を持つという性質がありますからね)

あとこれは僕の邪推なんですが、小野泰輔と維新の会は衆院選を見越して東京都知事選に出てたのではと考えています。都知事選の際に元々無所属だった小野が日本維新の会から推薦を貰ったのには後の衆院選を見越してという邪推ですね。

しかもこの文通費のことももしかしたら事前に戦略を練っていたんでは?と勘ぐりたくなります。ただ衆院選の日程とも絡む話ですし、どこかのタイミングで言及しようとしてたことをちょうど良い機会がやってきたからぶっこんだろか、と考えたのかもわかりません。

いずれにせよ、こうやって仕事やってる風・誠実な振りを装って裏では新自由主義の尖兵として動くのが日本維新の会だと僕は見ています。

あぁ、ちなみに維新の会を橋下徹が2012年に立ち上げたときの公募委員会委員用は皆大好き「ケケ中Hey蔵」氏でございます。

まぁつまり、そういうことです。

岸田は維新の会を保守と所信表明演説で述べましたが、そんなことはない、日本の解体を望むネオリベ(新自由主義)の手下であったという話です。


2割の希望

以上申し上げたように第1党自民党はゴミ、第2党立憲民主党は童貞、第3党維新の会はネオリベの手先ということで、ハッキリ言ってほぼ詰みの状態です。日本は「失われた30年」から「失われた35年」にほとんど王手をかけられているような状況です。ただ冒頭申し上げたように2割ほどの希望もあります。

1.積極財政を推進する国民民主党が議席数を伸ばし、れいわ新撰組が3議席獲得した。

2.自民党の中でも積極財政を提唱していた数少ない良識ある議員はいた。が、ガス抜きにならないようにして欲しい。

                                     

1.国民民主党が議席数を伸ばし、れいわ新撰組が3議席獲得した。

若輩者で何も知らない人間ではありますが、僕は政治には優先順位があると自分なりに考えています。第1に積極的な経済政策、第2に安全保障(食料安全保障含む)・教育・インフラ投資、そして第3にその他というものです。(というか政府の役割というのは日本の国土を守り、日本国民の生命・財産・安全を守ることですから、それさえできれば僕は別にうだうだ言うつもりはないのです。それすらできないアホだから優先順位を述べているわけです)

第1に重要なのが経済政策です。これがないと何も始まりません。政府がしっかりとお金を出し、国民の生活を保障する。そうでないと消費や投資が冷え込み、経済の循環は滞って産業が弱体化してしまいます。(ちなみにここでいう「投資」とは短期的な株の売買で儲けを目指す「投機」ではありません)

第2に挙げた食料や安全保障なんかも「予算の範囲内で」なんて抜かしてると外資にいつのまにか盗られたり、自国の安全を守ることがそもそも出来なくなります。何より、産業が弱体化することが本当に問題なのです。

例えばこのコロナ禍において飲食店がダメージを受けたのは事実でしょう。そしてよくわからない基準で規模の大小を考えず1日10万円を給付しました。それで飲食店の経営者が助かったのならそれはそれで良いことではあります。

しかしながら、飲食店の後ろには野菜を作ってくれる農家、危険を覚悟で漁をする漁師、競りをする仲買業者、お酒を造る方々など沢山の人たちがいるのです。彼らの仕事の上に飲食店は成り立っているのです。ですから飲食店「だけ」を助けると言うことはその後ろの人たちを見捨てると同義です。この期間に立ち行かなくなってしまい職を辞した農家の方や漁師の方もいるのです。そうした場合、コロナ禍が明けていざ経済のV時回復!と意気込んでもそう易々と出来なくなってしまいます。だって職を辞めてしまったんだから。

だからこそ、本来は飲食店だけでなく他業種に対しても、また国民一律給付を1回だけでなく何度でも繰り返し行い、経済の立て直しの基盤を確保しておくべきだったのです。そのような政府にしか出来ないことをやらないで、自己責任の名の下に国民を見捨て、分断するなど到底まともな思考を持っているとは思えません。それなら政府なんて必要ないじゃんって話になるのです(いわゆる「小さな政府」ってやつです)。弱肉強食は世の常なんて抜かしてるなら、それこそ動物と一緒じゃないですか。人間の営みの根源を否定した安倍・菅の自民党は大罪を犯したと僕は思いますよ。

これに対して積極的な財政出動を公約に掲げた政党がありました。国民民主党とれいわ新撰組です。

僕は彼らの政策を全て諸手を挙げて支持するわけではありませんが、少なくとも最も大事な政策(と僕は考える)である積極財政政策を前面に打ち出したのは彼らだけでした。その彼らが議席を増やしたというのは今のところ朗報と捉えて間違いないでしょう。

                                     

2.自民党の中でも積極財政を提唱していた数少ない良識ある議員はいた。が、ガス抜きにならないようにして欲しい。

これは言葉の通りです。色々と書きたいところですが、ただ1つ言いたいのは自民党の良識ある諸先生方には維新の会のように誠実さを装ったパフォーマンスをするのだけは辞めて欲しいです。自民党の中で自浄作用が働いているとみることも出来るのですが、それを装って裏でなぁなぁで終わらせることだけはしないで頂きたい。

僕は20年以上政治家やってる人間をもう信用してませんので。

かと言って経験が浅いから許されるわけではないですよ。

小泉進次郎なんてその典型ですよね。

確か以前「悲観的な1億2千万人より、自信に満ちた6千万人の方が良い」みたいな主旨のことを発言していたようです。

お前はバカか(知ってた)。

お前の仕事は自信に満ちた1億2千万人で日本を満たすことだろうが。

コイツマジで脳みそにクソでも詰まってるんじゃないですかね(名推理)


最後の方言葉が悪くなってしまい申し訳ありません。

兎にも角にもこれから先、日本が地獄の道を進むか。それとも世界に冠たる先進国としての道を再び歩みだし、世界をより良い方向に導けるか。そのせめぎ合いの衆院選だったと思います。

個人的にはもう少し投票率上がって欲しかったですね。

確かに自分が1票を投じたことで何か変わることはないかもしれません。

でも、皆がそう思ってしまったら現状維持のままなんですよ。そして権力者達はその状態を維持したいのです。

誰かの不幸の上に自分の幸せを勝ち取る。僕はそういう社会にはしたくないですね。

それでは今日この辺で。

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