皆様こんばんは。
『ヒカルの碁』第4巻感想・レビューになります。前回から大分時間が経ってしまい申し訳ありません。趣味が多いと一つ一つになかなか時間が取れません。言い訳はさておき早速始めましょう。
目次
①海王中VS葉瀬中 決着
②インターネットに君臨せし「sai」
①海王中VS葉瀬中 決着
2回戦に勝ち上がってきた葉瀬中の面々はいよいよ最強の海王中と勝負することになります。
大将として海王の部長と勝負することになった三谷は急な攻めによって相手のペースを乱そうと画策します。しかしながら流石は海王の部長、のらりくらりとかわしつつ、三谷の深層心理を探って逆に追い詰めていきます。意地の張り合いという勝負を仕掛けられた三谷は全体を俯瞰しようとし、意地になって1つの碁石を採るのをあきらめます。しかし我流で実戦と経験を積み上げてきた三谷にとって、その意地を貫かないことは即ちその後の敗北を意味していました。海王部長の前に為す術も無く敗れ去ります。今後三谷に関して言えば、相手のペースを乱すようなトリッキーさでは無く、真正面から相手とぶつかり打ち倒していくような成長を感じさせる描写だったのかなと思いました。
一方でアキラとヒカルの対局は通算3回目を迎えます。アキラが院生になるのをやめ、かつ部内で居づらくなるようなまねをしてまでもヒカルと戦いたいという意志を汲んだヒカルは、当初自分での対局を臨んでいましたが、やはりアキラの思いに免じて佐為に打って貰うことにします。対局前の挨拶の時点でヒカルはアキラの手が震えていることを見逃しませんでした。その真剣な眼差しにヒカルは吸い込まれて囲碁の世界に入っていったことを再認識するのでした。アキラは佐為との戦いを何度もシミュレーションしたのでしょう、流石佐為と打っているときでも臆すること無く新たな手を指していきます。そんな中佐為は珍しく長考します。ヒカルには直感的に見えていた場所があるのに、佐為がなかなか打とうとしないこと、アキラにどれほど自分が追いついたかを試すために佐為の意図とは異なる自分の直感を信じて手を打ちます。しかしその後の手が最初のヒカルの一手に続くわけでは無く、ヒカルはアキラの前にあっさりと敗れ去ります。アキラはヒカルこそ神の一手を打つことが出来ると期待していたのですが、ヒカルにその力量が無いことを認識し見切りを付けようとします。対照的に自分も考えなかった手を打ったヒカルに佐為はより興味を持つようになります。
②インターネットに君臨せし「sai」
中学校大会の後、ヒカルは囲碁部の先輩筒井に連れられプロ棋士の大会会場へと足を運びます。とは言え「観る」囲碁に全く興味の無いヒカルは早々に会場を後にしようとします。そこで偶然インターネット囲碁なる物を見つけます。インターネット上でリアルタイムで囲碁を打つことの出来る非常に画期的なシステムでした。佐為に囲碁を打たせてやりたいという思いはあるものの、佐為があまりにも強い為まぐれ勝ち呼ばわりされるのが嫌になっているヒカルと、名前と顔を隠して打てるネット囲碁の需要が一致した瞬間でした。
それよりヒカルは夏休みを利用し、「sai」の名前で度々ネット上で対局をすることになります。しかし佐為がうっているだけあって連戦連勝を重ね、本人たちの知らないところで名前が広がっていくようになります。また、打ち方が本因坊秀策に似ていることから、彼の再来であるとの噂も囁かれていきます。当然インターネットですから彼の強さに魅せられ、「sai」の正体を求めた世界中の多くのアマチュア棋士が来日します。「sai」宛てに続々と対局の申し込みが来るのですが、その中に「akira」の文字がありました。ヒカルはもしかしてアキラが申し込んできたのでは無いかと考え、アキラと佐為を戦わせてやりたいという望みを叶えるため対局を受け入れます。佐為とアキラが2戦目に行った対局の通りに流れ、アキラはネットの向こう側の相手が佐為(ヒカル)であることに勘付き別の日に再度申し込みをする形で対局を終わらせます。その対局日はプロ本試験の1日目でした。自身の強さに自負もあったのでしょう、アキラはプロの本試験では無くサイトの対局を選びました。
さて以上4巻のあらすじでした。ここまでを読んだ総括として、『ヒカルの碁』は(囲碁に対して)自主性を持たなかった主人公が、周りとの温度差を感じていく内に知らぬ間に主体的に行動が出来るようになっていくストーリーだと言えるでしょう。特にライバルであるアキラを通じて、ヒカルが囲碁に真剣に向き合うと流れが実に自然な描写として描かれているように感じました。ストーリー自体もテンポ良くサクサク進んで非常に読みやすいです。まさか囲碁を知らなくても楽しめるとは思いませんでした。また囲碁を知った人からすれば、登場人物たちの内に秘める重厚な戦略や思いを垣間見ることが出来、なおいっそう面白いのでしょうね。この際囲碁のルールぐらいは覚えてみても良いかもしれませんね。
「sai」は今後インターネット上でどのような立場になっていくのか、「sai」がヒカルであることを勘付いたアキラはヒカルと佐為の秘密を知ることになるのか、今後の展開が非常に楽しみです。
それでは今日はこの辺で。